ショックフリーザーの特徴と実用例
高速凍結を実現するショックフリーザーの魅力
「食材の冷凍を素早く行いたい」
「冷凍コストを下げたい」
といったご要望は、ないでしょうか。食材の冷凍は非常に時間がかかりますし、毎月の冷凍コストもかなりの額になると思います。
そんな皆様のために超高速でかつ低コストで冷凍保存が可能なショックフリーザーを紹介いたします。
安価に食材のドリップを防ぐ冷凍機
ショックフリーザーは、加熱されていない常温の食材を高速で凍結することができる冷凍機です。
この凍結機の魅力は、マイナス40℃前後の冷風を食材に当てるので通常の冷凍機よりも素早く凍結できることです。このように、高速で冷凍することで菌の繁殖やドリップの流失を防ぐことができます。
ショックフリーザーは、急速冷凍機のように高品質の冷凍保存を素早く実現できますが、厳密にいうと急速冷凍機とは異なります。
急速冷凍機は、氷結晶最大生成温度帯(-1℃から-5℃)を30分以内に通過可能な冷凍機のことを指します。他方で多くのショックフリーザーは、氷結晶最大生成温度帯の通過に90分程度掛かってしまうので急速冷凍機とは言えません。
もちろん、食材によってはショックフリーザーでも急速冷凍機と同じようなスピードで氷結晶最大生成温度帯を通過した上での冷凍保存が可能です。そのためショックフリーザーでも対応可能な食材であれば、導入費用が比較的に安価なショックフリーザーはおすすめです。
しかしながら、個人的な感覚としてショックフリーザーで急速冷凍機と同様のスピードで冷凍できる食材は多くないといえます。
なお、最近のショックフリーザーの中には、ショックフリーズ機能とブラストチル機能の両方が備わっているタイプもあります。他にも洋菓子や和菓子に特化したタイプも販売されていますので、用途に合わせたショックフリーザーの選択が可能です。
各社製品の解説と一覧
ここからは、各メーカーが販売しているショックフリーザーを一覧で紹介します。
3つの冷却モードがあるHBC SERIES
画像引用元:http://www.hoshizaki.co.jp/p/new/blast/
ホシザキ電機のHBCシリーズの特徴は、急速冷凍に加えて3つの冷却モードを使用途別に使い分けることができることです。ここでは、HBCシリーズの3つの冷却モードを紹介します。
①ソフトチル
マイナス1℃の冷気で食材芯温を3℃以下に冷却。 プリンのような凍結しやすい製品に使用します。
②ハードチル
マイナス20℃の冷気で食材芯温を3℃以下にまで冷却。 ソフトチルよりも、素早く冷却可能なので細菌が繁殖しやすい食品の冷凍保存におすすめです。
③ショックフリーズ
マイナス40℃の冷気で食材の芯温をマイナス18~20℃まで冷却。 急速冷凍が必要な食品に使用します。
このような3種類の冷却モードの使い分け以外にも、以下の様な機能が搭載されています。
•芯温制御
芯温の温度を設定しておき、設定温度に達すると保冷運転に切り替わります。
•タイマー制御
タイマーで時間を設定しておき、設定時間に達すると保冷運転に切り替わります。
•庫内温度制御
庫内温度を設定しておき、設定温度に達すると保冷運転に切り替わります。
8種類のモード選択が可能なIRINOX
画像引用元:http://fmi.co.jp/products/irinox2/index.html
ここでは、イタリアを本社とするIRINOX社が提供しているマルチフレッシュ・ブラストチラー&ショックフリーザーIRINOXの特徴を紹介します。
この冷凍機の特徴は、内部のシステムが、世界中の様々なジャンルの調理師や料理人の意見を取り入れた上で作られていることです。そのため、ショックフリーズ機能だけではなく、調理した直後の熱々の食材も冷凍可能です。
ここでは、IRINOXの具体的な8つの機能を紹介します。
①ブラストチル
加熱調理した90℃の食品を芯温3℃にまで急速冷凍可能。細菌が繁殖しやすい温度帯を素早く通過するので、食材の香り、色合い、鮮度、安全性を保つことができます。
②ショックフリーズ
食品をマイナス18℃まで急速に冷却可能。 最大氷結晶生成体も急速に通過できるので、食材の細胞を壊さず、内部の成分の流失を防ぎます。 香り、色合い、鮮度、安全性、栄養価はもちろんのこと、水分や食感も凍結前と変わらない状態で解凍可能です。
③解凍
食材の解凍に最適な風速、庫内温度で解凍を行うので食材のダメージを防ぎます。解凍する日時を指定できるので他の作業に合わせたタイミングに食材を解凍可能です。
④保温、保冷
庫内温度を85℃からマイナス35℃まで調節可能。 様々な食材や料理に最適な温度で保持する事ができます。
⑤再加熱
冷凍、保冷の状態から芯温75℃の状態にまで再加熱可能。 加熱時間も設定できるので他の作業に合わせたタイミングで加熱ができます。
⑥低温調理
加熱調理も自動で行うことができます。 これにより、夜間の間に低温調理をした料理が、朝方になる頃には任意の状態(保温・冷蔵・冷凍)で保管可能です。
⑦発酵
マルチフレッシュは、食材の発酵が可能な世界初の急速冷凍機です。 焼成のタイミングに合わせてIRINOX独自の発酵プログラムを作動させることで冷凍生地を解凍、発酵させます。発行時の全工程の温度や冷保存を指定することができます。
⑧低温殺菌
調理後の食材をお客様の希望の状態(保温・冷蔵・冷凍)へ自動で切り替えることができます。この機能を利用して庫内温度を80℃に設定することにより、食材や備品の低温殺菌が可能です。
お菓子の冷凍ならhengel Shock Freezer
エンジェルショックフリーザーは、洋菓子や和菓子をはじめとしたお菓子に特化した急速冷凍機です。従来の冷凍機でお菓子を凍結する場合、食品に含まれる水分が細胞を壊してしまいます。その結果、お菓子のありのままの食感や風味が失われてしまい、油脂も分離してしまいます。
他方でエンジェルショックフリーザーは、強力な凍結能力によりお菓子を高速で凍結します。これにより、お菓子内部の細胞を壊さないので内部のパサつきや味の劣化を防ぐことができます。
冷凍機に内蔵されているリニアサーモセンサーという機能により、通常の芯温凍結だけではなく冷凍時の温度や時間帯の設定も可能。このため、お菓子そのものの美味しさや品質を保った上で凍結できます。
冷却調理が可能なQXFシリーズ
福島工業株式会社が販売しているブラストチラー・ショックフリーザーQXFシリーズは、「冷却調理」が特徴的です。
まずQXFシリーズの機能の説明をしますが、従来の保存方法では湯気と共に逃がしてしまっていた香りや、水分、色合いなどを逃がさずに保存が可能です。これにより、食材のありのままの美味しさを維持して仕上げることができるようになりました。
QXFシリーズは、ショックフリーズだけではなく、急速冷凍も可能なので加熱調理した食材をそのまま冷凍可能です。このように調理後すぐに冷凍機に入れることができるので、菌の繁殖に加え、異物混入も防ぐことができます。
はじめに紹介した「冷却調理」というのは、福島工業が調理過程のひとつとして非常に大切にしている概念です。ここでいう「冷却調理」は、ショックフリーザーをはじめとした急速冷凍機を活用することで食材の味や品質の向上を目指す調理方法です。この「冷却調理」を利用すれば、「かぼちゃ」、「ハンバーグ」、「プリン」といった食品の味や品質を落とさずに冷凍・解凍することができます。
温度管理が可能なブラストチラー/ショックフリーザー
多くの業務用冷凍機や業務用冷凍庫を販売している大和冷機工業株式会社のDBCシリーズです。
DBCシリーズの特徴は、以下の3点です。
• 急速冷凍により料理の風味を損なうのを防ぐ。
• 細菌が増殖しやすい温度帯を一気に通過することで食の安全性を守る。
• 冷却時間を短縮させ、作業効率をアップさせる。
DBCシリーズは使いやすさに加え、搭載されているマイコン機能により冷却時の温度管理が可能。さらに外観の美しさや設置しやすさにも気を使っていてさまざまな厨房のレイアウトにぴったり収まる設計になっています。
その他の機能
• 芯温センサ
• 3つの運転制御システム(芯温・庫内温度・タイマー)
• 食品に合わせたプログラム運転
• UVランプ搭載
ドリップの流失を抑えるノンドリップショックフリーザー
画像引用元:http://kokueki-reiki.com/nodrip.html/
国益冷気有限会社が提供しているノンドリップショックフリーザーの特徴は、ドリップの流出を極限まで抑えることです。
食品を冷凍機に投入した際に侵入する外気を極限まで抑えることで、庫内の湿度・温度の上昇を防ぎ、ユニットクーラーの霜も激減させます。このため、食材のドリップを抑えることができるので解凍後も凍結前と変わらない新鮮さを再現可能です。
この商品は、従来のショックフリーザーの1/5程度のコストで利用可能です。このように他社と変わらない性能や容量の冷凍機を維持費、管理費を抑えて利用ができます。(運転経費はバッヂ式と同等)
なお、ノンドリップショックフリーザーはお客様の要望に沿った形のオーダーメイド設計も可能です。これにより、自社の設置スペースに合う設計の冷凍機を手に入れることができます。
本記事を読まれた皆様へ
ショックフリーザーの魅力は、通常の冷凍機よりも素早く食材を凍結することで味の劣化やドリップの流出を防いでくれることです。 近年のショックフリーザーは冷凍機の能力向上に加えて、温度設定をはじめとした様々な機能が追加されることでより使いやすくなりました。
よくショックフリーザーと混合されるブラストチラーは、こちらのページで詳しく紹介しています。
≫ ブラストチラー
この記事で紹介したショックフリーザーは、お値段も手頃で非常に良品です。しかしながら、凍結能力に関しては、「空気凍結機」や「液体凍結機」のような急速冷凍機に比べると低い傾向があります。そのため、より冷凍能力に優れた急速冷凍機をお探しの皆様には、下記で紹介する急速冷凍機がおすすめです。
Artlock Freezerは庫内の冷気を入れ替えず、循環させながら凍結させるため、ムラのない冷凍が可能。
また空気の入れ替えがないので食品の乾燥や霜を防ぎます。
下記で紹介しております品川デモ会場では、より急速冷凍機の詳細な情報が得られます。
品川デモ会場に関する情報は、下記の記事で紹介しております。
- ・食材凍結テスト体験談の記事はこちら
- ・品川デモ会場の紹介記事はこちら
- ・品川デモ会場独自サービスの取材記事はこちら
その他のお問い合わせはこちら。